特別養護老人ホームの費用は年金でまかなえるのでしょうか?
また、入所条件とはどのようなものでしょうか?
特養は入所待ちが多く、なかなか入れないといわれています。
空きがないときはどうすればいいのでしょうか?
親の特養(特別養護老人ホーム)入居を希望する場合、どういうふうにすれば入居できるのか、特養の入所条件などを調べてみました。
特別養護老人ホームの費用は年金でまかなえるの?
特養はいつも介護が必要で、在宅での生活が困難な人が入居できる施設です。
低所得の方でも負担が重くならないように軽減策があるのも人気の理由です。
特別養護老人ホームの費用
特養(介護保険施設)に入居した場合、どのような費用が発生するのでしょうか?
入居一時金などは必要ありません。
入居後は月額費用として生活費(居住費と食費)と介護サービス費の1~2割を支払います。 |
居住費や食費の額も制度で決められており、わかりやすい料金体系になっています。
特別養護老人ホームの費用は要介護度に合わせて「施設サービス費」が決まります。
それにより、自己負担額も変わります
居住費+食費+光熱費+生活費は必要になります。
有料老人ホームに比べて費用は安く、おむつ代なども「施設サービス費」に含まれます。
低所得の方でも、負担が重くならないように、軽減策が用意されているのも、人気の理由です。
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特別養護老人ホームの費用は年金でまかなえるの?
特別養護老人ホームなどの介護保険施設には軽減策が用意されています。
安いと人気の特別養護老人ホームでも、個室を利用すれば月額12万円以上かかります。
12万なんて、国民年金では払えない、とガッカリされる方もおられるでしょう。
介護保険施設やケアハウスは、弱者救済の使命があるんですよ。
困っている人を優先して助けていくという責務があります。
なので、所得に応じて費用が軽減される制度があり、国民年金のみ受給でも、支払うことができるようになっています。
特定入所者介護サービス費
介護保険施設には「居住費」と「食費」の軽減制度があります。
所得が低い場合でも施設利用ができるように「特定入所者介護サービス費」という、「居住費」と「食費」の負担軽減制度があります。
実際にかかった負担額と、所得によって決められた負担限度額の差額分を市区町村が施設に支払うことで、利用者の負担を軽くしてもらえます。
介護保険負担限度額認定証
負担額の減額認定を受けるためには、役所に「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けます。
担当のケアマネージャーさんなどに相談してみてください。
「介護保険負担限度額認定証」の有効期間は1年です。
毎年7月が更新月なので、必要なら忘れないように交付申請してください。
世帯分離
もし、親が所得の高い子供と同居している場合、親も「高所得の高齢者」扱いになっているケースがあります。
親の住民票を施設に移して「世帯分離」を行うと、親は「低所得」の扱いになり、「居住費」と「食費」の負担軽減制度を利用できることができるようになります。
特定入所者介護サービス費を利用することで、費用(月額料金)が年金でまかなえる範囲になった、という方もおられるようです。
特別養護老人ホームの入所条件は?
特別養護老人ホームの入所基準と特徴
- 介護保険で入居できる
- 対象は要介護3以上(事情によっては要介護1・2も可)
- 認知症に対応
- 看取り対応しているところもある
- 要介護者3名に対し、常勤職員が1名の配置
- 個室・多床室(相部屋)がある
- 全国どこでも申し込める(ただし、住民登録をしている方を優先するところが多い)
- 申し込みは直接施設にする
待機者が多くて、入るのがむずかしいと言われている特別養護老人ホームですが、地域によって事情は異なっています。
特別養護老人ホーム(特養)は重度の介護を行うための施設です。
介護保険制度の施設介護サービス計画により、入浴、排せつ、食事などの介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、および、療養上の世話を行います。
特別養護老人ホームに申し込めるのは、原則として要介護3以上です。
申し込み順ではなく、必要性の高い人が優先されて入居が決まります。 つまり、要介護3より要介護5の人の方が優先順位が高く、介護する家族が身近にいる人より、遠方の人の方が優先順位は高くなります。 介護者がいない一人暮らしのお年寄りで、要介護度が高いと優先的に入居になります。 |
特養は人気が高く、待機者が多くて入居が難しいと言われていますが、地域によって事情は異なってきます。
特養はポイント制
特養はポイント制で、介護度が重いほどポイントが高くなり、問題行動があれば加点されます。
特養の入居の優先順位は自治体ごとに違いますが、だいたい似ています。
たとえば、子どもが親と同居のケースでは、必要性が低いとみなされて、ポイントが低くなります。
ポイントは、本人の要介護度(1~5)に応じて、15~30点の加算があります。
さらに、介護者がいない場合は40点、介護者がいる場合は5~40点と状況により変わってきます。
ホームページで判定基準を確認してみてください。
役所の介護保険の窓口で、詳しく教えてもらえますよ。
特養の申し込みは複数する
特養の申し込みは複数するのが一般的です。
待機者の数を聞くと、その多さにビックリするかもしれませんが、実際の4~5倍になっています。
だいたい、お一人が4~5カ所の申し込みをされておられます。
地域によっては、料金の安い有料老人ホームに入居者が入って、特養に空きがあるケースもあるようです。
近くだけでなく、場所を広げて探してみると見つかることもありますよ。
もし、一時的に別の施設に入居して、特養が空くのを待つのなら、特養もあるグループ法人を検討してみてください。
グループ法人運営の施設に入居していると、場合に応じて別の施設へ住み替えられるケースもあります。
社会福祉法人では、特養を柱にグループホームや有料老人ホーム、ケアハウスなどを運営しているところも多いです。
待機者が多い場合や入居まで時間がかかる場合は、同じグループの有料老人ホームなどに一旦入って待機していると、多少は特養への入居の順位を融通してくれるケースもあるようです。
申し込みのあとでも事情を伝える
介護者が病気になった場合、申し込みのあとでも事情を伝えるようにしてください。
高齢の親が、もう一方の親を看ている場合など、介護者の健康状態が悪いなどの事情を連絡すれば、理由によっては順番を早めてもらえる可能性があります。
「緊急枠」もあるはずですから。
初めからあきらめずに、今の状態を説明するようにしてください。
入居まで「老人保健施設」で過ごし、待機して空きが出るのを待つ方もおられます。
介護を受ける人と介護をする人の共倒れを防ぐためにも、特別養護老人ホームの待機期間中に、一時的に利用する施設を検討してみましょう。
介護型のケアハウスや、介護療養型医療施設も選択肢のひとつです。
待機期間として、別の施設を一時利用する場合、親にとっては安定した環境ではないかもしれませんが、介護者の共倒れを防ぐことを優先しましょう。
まとめ
特別養護老人ホームなどの介護保険施設には軽減策が用意されています。
所得が低い場合でも施設利用ができるように「特定入所者介護サービス費」という、「居住費」と「食費」の負担軽減制度などがあります。
特別養護老人ホームの費用を年金でまかなえることができるように、ケアマネージャーさんと負担軽減制度などの相談をしながら、入居の準備を進めていきましょう。